「ハッハッハ♪
不味い料理は、お前の前の物だけだよ♪」
あらかじめお見合いの部屋に仕掛けておいた隠しカメラの映像を観ながら、シチローは笑い転げていた。
不味い物を食べさせられて機嫌悪そうにしている金田に向かって、ひろきが申し訳無さそうに謝罪する。
「私共の料理が金田様のお口に合わなかったようで。」
「まったくだ!…今日はついてないな!」
「金田さんは確か、十月生まれの天秤座ですよね?」
“ついてない”と言う金田に、詩織は持ってきた鞄から占いの本を取り出し、金田の今日の運勢を調べ始めた。
金田はこれでも、結構『ゲンを担ぐ』タイプの人間である…なにせ株取引のようなものは、経済の分析力もさる事ながら、勘や運に頼る事も多分にあると考えているからである。
興味深そうに詩織の占い本を覗いている金田の様子を見て、ひろきは次の作戦に移った。
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