膳に並べられた色とりどりの上品な割烹料理を見て、金田は満足そうな顔を浮かべた。


「いやぁ♪旨そうだな。詩織さん、早速頂きましょう♪」


そう言うと、金田はいち早く大好物の伊勢海老に箸を付けたのだが……


「うげえぇ~っ!」


金田は伊勢海老を口にした途端、悶どり打って転がり回った!

不味いなんてもんじゃない!…まるで腐っているのかと思う程だ。


「なんだこりゃあ~!おいっ!」


金田は、えらい剣幕でひろきに向かってクレームをつけた。


「こんなもん食えるかあ~っ!」


しかしひろきは落ち着きはらって、こう答えた。


「あれ?あちらのお客様は美味しそうに召し上がってますけど……」


見ると、詩織は同じ伊勢海老をにこやかな顔で食べている。


「とっても美味しいですわ♪この伊勢海老。」


首を傾げながら、今度は旬野菜の和え物に手を出すが……


これがまた、口から火が出る程辛かった!!


「おいっ!!」


「まあ~♪この和え物の味付け、とっても良いわ~♪私の作る料理もこの位よ。」


金田は、畳に仰向けになりながら思った。

(とんでもねぇ味オンチ女だ…料理なんて絶対作らせられねぇ……)