翌日……図書館に現れた詩織に『白いジャージ』を渡し、耕太は“少し話をしませんか”と詩織を図書館の中庭へと誘った。


暖かい午後の日差しを浴びて、二人は中庭のベンチに座った。


「いよいよだな……」


建物の影に隠れて二人の様子を見守るシチロー達……


しかし、万全と思われたこの作戦にも一つだけ欠点があった。


『対話くん』は、相手が何か喋らなければ答える事が出来ないのだ。


あの夜の時とは違って、二人は黙ったままだ……


「あ~~っ!はがゆいわね!」


「何か喋って!詩織さん!」


子豚とひろきが、じれったい声を出した。


「シッ!詩織さんが何か喋りそうだ……」


耕太に仕掛けた盗聴器の音声が、詩織の声を捉えた。