「結局それで別れてきちゃったの?」


森永探偵事務所では、耕太からの報告を聞いたシチロー達が溜め息をついていた。


「いい雰囲気だと思ったのにな……結局、告白はしなかったんだね。」


「告白なんてとんでもない!小説の話をするのが精一杯で、とてもそんな事は!」


耕太は顔を真っ赤にして答えた。


耕太がこんな調子では、この先の恋の進展は難しいものになりそうだ。


シチローは暫く腕を組んで考えていたが、やがて何かを思いついた様に手をポンと叩いた。


「よし!アレを使うか!」


そう言って奥の部屋に引っ込むと、暫くして何やら『iPod』のような電子機器を持って再び現れた。


「シチロー、何それ?」


ひろきが興味深そうに覗き込んで尋ねる。


「知り合いの電子機器メーカーの奴に頼んで作って貰った……『自動対話機能付きボイスチェンジャー~対話くん』♪」

シチローが得意そうに胸を張って答えた。