「耕太君、上手くやってるかな~?」


北条家の閉じた門を眺めながら、ひろきが呟いた。


北条家の敷地に入る事が出来ないシチロー達は、門が見える少し離れた場所から耕太が現れるのを待っていたのだ。



耕太は肩を落としてうなだれながら北条家の広い庭園を歩いていた。


「所詮、僕には無理な話だったんだ……」


現実を思いさらされたような気分になった耕太はこの時、いっそのこと詩織の事を諦めてしまおうかとも考えていた。



やがて、まるでその重苦しい雰囲気を象徴するかのように、門の開く鉄の軋む音が聞こえた。