『森永探偵事務所』
事務所に到着するなり、シチローは今回の依頼の情報整理にかかった。
「まず、依頼者は
『山口耕太』君…
去年から図書館に勤める22歳の真面目な青年だ。」
それに続いて、てぃーだが説明を始めた。
「そして、これが相手の『北条詩織』さん…耕太君のケータイの待ち受け画面から写真を移させて貰ったわ。」
正面からでは無い、まるで盗撮写真の様な視線の外れた斜めからのアングルの写真は、この一方的な恋愛の困難さを顕著に物語っていた。
「この写真じゃ分かり難いけど、確かにキレイな女性のようだ。…洋服のセンスも良いし、良家のお嬢さんって感じだな……」
これが写真を見たシチローの感想だった。