いつからこんなだったっけ。
狂ったように酒を飲む母親。
ベッドの上で、聞いたこともない甘い声を出す母親。
若い女といっつもベタベタしている父親。
母親に暴力をふるう父親。
父親のせいで母さんはこんな風になったんだ。
愛された記憶なんか、ない。
一度くらい、愛されたこともあったんだろうか。
そんなこと、もう覚えてない。
愛されたことが他より少ないから、人への愛し方も分からない。
好きだとか、そんな感情を持ったことがない。
遊びまくって、別に好きでもない酒飲みまくって、色んな女抱いて。
それでも、満足したことなんか無かった。
どっか欠けてる心の隙間を何かで埋めたくて。
なかなか埋まらなくて。
もどかしくて。
どーすりゃいーかわかんなくて。
そんなとき、あいつと出会った。
あいつが俺を、変えてくれたんだ――――