カチカチ…ッ。

刃を出す音。

そのまま、自分の手首に押し当てた。

「待てよ!!やめろ!!」

「嫌!死ぬの!」

「そんなことしたって意味ないだろ!」

「……じゃあ!広海が切ってよ」

「お前、何言ってんだよ」

「広海が、自分の腕切ったら別れたげる」

「……!!」

「その傷見て、あたしのこと思い出してね??」

そう言って、狂ったように笑った。

「……貸せよ」

「…え??」

「……貸せって!!!」

女の子の手からカッターを奪う。

そのまま、左の手首にそっと押し当てる。

……やめて…!!!

顔をゆがめて、カッターを動かしていく。

「…っ…」

広海…!!!

―――――カシャンッ

カッターを手から落とした。

薄暗い電灯が、白いコンクリートに滴り落ちる血を灯していた。

「これで、別れてくれんだろ?」

そう言って、左手首をぎゅっと押さえた。