「もうすぐお前の誕生日だな」
先に沈黙を破ったのは悠稀だった。
あと2週間であたしは20歳になる。
「もう親の承諾はいらねーな」
「……何のこと??」
「結婚しよう。で、お前はこっちに残って夢を追いかけろ」
「……結婚!?えっ!?プロポーズ!?」
「そうだよ。プロポーズだよ。ハズいから早く返事しろ」
悠稀の顔は赤かったけど目は真剣でいつもより……今までのどんな悠稀よりもかっこいい。
悠稀がスーツの胸ポケットに手を入れ何かを取り出した。
これドラマで見たことある。
悠稀の手には小さくて上品な箱、そしてそれを開けた。
中身はもちろん指輪。
「早く返事しろよ」
「あっ…えーと、うん。結婚する。悠稀と結婚する!!」
何年も待ったこの瞬間だけど想像してたより緊張しなかった。
ムードもなんにもなかったし。
ただ、悠稀との遠距離へのピリオドが打たれた気がする。