優希は店に入ってすぐのところにちょこんと座っていた。
その表情はなにか悩んでいるようだ。
背後に立ってみたが気づく様子はない。
だから後ろから抱きしめてみた。
優希は一瞬ビクッとしたがすぐに俺だってことに気づいたみたい。
「どうしてここにいるの??」
「テレビ見てねーの。パリで記者会見してた」
「見た……。かっこよかったよ」
……照れるからやめろ。
優希を抱きしめるのをやめ、隣に座った。
「なんつー顔してんだよ。話てみろ」
「なんもない……」
頑固者。
んな顔してたら何かあったかバレバレじゃねーか。
「あ、あれ西野優希じゃない!?本物!?」
「ウソ―――!?!?あ、マジだ!?なんでここにいるの!?」
やべ!!
周りにバレた。
ここが貸し切りで良かった。
貸し切りじゃなかったらもっと騒がれてたかも。