あの日は蒼井からの収入(まだこの時はセフレではなかった)でキャバクラで遊ぼうと、新宿に来ていた。

キャバクラというのは、ただの思いつきだった。

ふらふらと歩いていると、一際ネオンが眩しい看板を見つけた。

俺は吸い寄せられる様に店の扉を開けた。

出迎えは先ず、壁を埋め尽くす数のキャバ嬢たちの写真だった。

「これじゃ戦争だな…」

俺の店の倍ぐらいのキャバ嬢の人数に苦笑いした。

「ぁ…」

沢山の写真の中から一人の女に目を奪われた。

周りの写真の女たちと同じ様に髪を盛っているわけでも、厚化粧をしているわけでもない。

明るい栗色の長いストレートな髪。

付けまつげを付けているが、それでも最低限の化粧しかしていない。

素顔に近い顔で女は壁に貼られていた。