「…もう一度言う。何が望みだ?…まさかこれか?」

「…まさか」

やっと口を開いたかと思うと、鼻で笑われた。

「貴方とビジネスの話がしたいの。貴方はあの女を殺して何をするつもりだったの?私と一緒?」

「てめぇーと一緒にすんな。俺は女を殺してその肉を喰うつもりだった」

今更何も隠す必要は無い。

「貴方、血はどうしてるの?」

「捨ててる」

「勿体無いわ。今度から捨てないで私に売ってちょうだい。これはビジネス交渉よ?」

「いくら出す?」

「リットル数と同じだけ弊紙を出すわ。勿論、万よ?」

「…いいだろう」

「交渉成立ね。私は蒼井由梨」

「俺は目黒純」

「目黒…どこかで」

「俺の親父は目黒修。連続殺人鬼だった」

事件が発覚してから初めて本名を名乗った。

「素敵なお父様ね」

これが初めてのビジネスパートナー、蒼井由梨との出会い。



手が痺れたので、俺もちゃんと横になって暗闇に浮かび上がる天井を見つめた。

隣の蒼井が寝返りを打って俺に抱き付いてきた。

俺は眠い頭で永原雅との出会いを思い出す事にした。