金持ち・・・

「そんなんじゃねえよ」

銜えた煙草を路上に捨て
歩き出す、一夜。

火がついたままの煙草を
女は、赤い靴で踏んづけた。

「危ないよぉ」

俺の腕に触れる女の手には
札束。

俺は、その手を払う。

「それ持って
 消えてくんない?」

冷めた視線に、深い声。

「えっ、どうしたの?
 
 怒ったの?」

「いやっ、その金
 おまえにくれてやる代わり
 に、俺のこと解放して
 
 じゃあな」 

「えっ、ちょっと
 待ってよ

 バカー」