高級な車の後部座席の窓
から覗く男性の見下げた瞳。

昔から何も変わらない。

蔑んだ目でアンタは俺を見る。

「生意気な口を叩いても
 おまえ如きが、この私には
 適わない

 粋がっていられるのも
 若さ、無知な今だけのこと
 
 おまえも社会に出れば分る
 時がくる、私の偉大さがな
 あはははは

 そして、この俺に感謝する
 ようになる
 
 そうだ、可愛い孫に
 タクシー代をくれてやる
 
 母さんが心配するだろう
 早く帰れ」

そう言って男は、車の窓から
お金を捨てた。