「あの女って

 誰・・・?」

一夜は何も答えず、黙ったまま
車のエンジンをかけた。

走り去る、一台の車を見つめる
芽衣子。

明けようとしていた空は

今も、明けない・・・

その後、兄貴を失った芽衣子
さんは、寂しさに耐えかねて
あの部屋で自殺した。

彼女が残した一枚の手紙には
兄貴への愛が溢れていた。

『いっちゃん

 愛してるよ・・・』

あの兄貴が、こんな風に泣く
姿を、俺は初めて見た。

彼女の棺から、ずっと離れる
ことはない兄貴・・・

彼女の手紙、最後の一行