『イチヤには
 ずっと暴力はつきまとう
 
 これから先、ずうっと
 イチヤは生と死を彷徨う』

「ねえ、いっちゃん

 その先に何があるの?
 
 幸せなんてあるの?」

悲しい叫び声を聞きながら
一夜は汚れた壁、その一点
だけを見つめる。

「いっちゃん
 
 極道やめて・・・」

芽衣子の零れ落ちる涙を
拭ってあげながら、一夜
は残酷な言葉を吐く。

「メイ
 
 俺は、極道をやめられない」

「貴方の愛してる女が
 泣いて頼んでも
 
 無理なの・・・?」

「ああ、無理だ
 
 俺について来れないのなら
 俺達は別れるしかない」

「何それ・・・」