「見慣れてる?

 見慣れるなんて事ないよ

 ずうっと、怖いよ

 暴力は、いやだよ」

顔を覆う芽衣子の両手を
退けさせ、一夜は覗き込む。

瞳いっぱいに涙を浮かべる
女がここに居る。

「メイ?」

「ねえ
 
 もうやめよう・・・」

俺を見つめる、悲しい瞳。

震えてる指先・・・

「いっちゃんの住む世界の事
 私、解ろうと努力した
 
 だけど、やっぱり
 私には無理・・・

 暴力しか無い、暗い世界
 に生き続ける意味なんて
 あるの?」

黙りこむ一夜の手を握り締める
芽衣子。