ひそひそと聞こえてくるリジュとハディの会話に耳を傾けるも、もう話は終わってしまったらしい。


『買い物行かない?』

『あ、いいわね! マヒロにも、服とか買ってきましょ』


…このような内容へと早変わり。

女ってのは何でこうも、話のタネがつきないんだ。


『てわけであたし達、ちょっと行ってくるわね』


ひらっと手を振りながら出て行く二人の背中を見送った。



『…………何が悲しくて野郎二人と無駄に豪華な密室にこもらなきゃなんねーんだっ』


『そりゃ俺の台詞だ』


『バカ言え。無理に連れてこられた俺だ』


口火を切ったアッシュ。

それをキッカケに静かーに言い合う俺達の姿というのは、なかなかに滑稽だっただろうと思う。


『あーもう俺寝よっかな』


『そうしろそうしろ。俺はこれの続きを読む』


最近、小説というものにハマっている。

これまで音楽以外にはさして興味も持たなかった俺だが、最近意外とヒマなので読書に励んでいる。

これがまた意外とイケるんだな。


本のページをパラパラめくりながら言った。



『じゃ、俺はマヒロの様子を見にでも行くか…』


ユウキはそう呟きながらソファから降り、マヒロのもとへと向かって行った。



『……あいつがマヒロを好きって、マジだったんだな』


『……忘れてやれ』


『……』