―――……


「……」


「くうんくうん…」

「わふっ」


「……梨音…琥珀…」


さっきからずっと、ベッドに横になって動かないあたしを心配するかのように、琥珀達が一生懸命に顔を舐める。

放心状態でされるがままになって、もう二時間は経ってるみたいだった。


少し意識が戻ってくれば思いだすのはあの一言。




『楓くんの手がかり見つけたかも…!』




あのあとのことはあまり覚えていない。

かっくんが生きてるかもしれないって思った瞬間、なにかが頭の中で弾けたかのように真っ白になった。


音なんて何も聞こえなくて。

何も目に入らなくて。

自分が自分じゃないみたいで、だけどこの世界に自分一人なような錯覚に陥った。


気が付いたらこうしてて、琥珀達が顔を舐めていた。


「ダメ…だよね。…ね。期待したら…」


忘れちゃダメだ。

父様はこうも言ってたのよ。


『可能性は限りなくゼロに近い』


…って。


期待は……しちゃ、ダメなんだよ…。

分かってる。

分かってるのに……どうしても。


抑えきれないよ…。

どうしよう…。

信じて、いいの? かっくん…。