―小学生の頃の
壮絶なイジメから始まって、
両親の不仲、
親友の裏切り、二度のレイプ…


あたしは心を開けない人間に
なっていた。

友達にも家族にも、
今までの彼氏に対しても。

常に作った笑顔で人に接し、
常に人に気を遣って、
明るいイメージを作ってきた。

本当のあたしはあたししか知らない。

「いつも明るいよね」
「悩みないの?」
「我慢強いよね」
「杏は強いね」

―…違うよ。
本当のあたしなんて
明るくも強くもないんだよ。