あたしはケータイを握ったまま
寝てしまっていた。

聞き慣れたケータイの音楽で
目が覚めた。


時刻は夜中の3時半。


急いで電話に出ると、
酔い潰れた陽太の声が
受話器から聞こえてきた。


『あ〜ん〜…
今帰ってきたわぁ…。
気分悪ぃー…。』


お酒にかなり強い陽太が
こんなに酔っているのは初めてだった。

すごくしんどそうな声。

でもあたしは
「大丈夫?」なんて声を
かけようと思わなかった。

23時までに帰るって言ったのに。
電話しようねって約束したのに。
…お酒に呑まれないって約束したのに。


色んな約束を破られた気になって
すごく腹が立っていた。