最後の最後に
もう一度あたしを抱きしめ、
また『愛してる』と囁きキスをして


『じゃあな!』と言って
陽太が乗るバイクは走り出した。


見えなくなるまで
あたしは陽太の後ろ姿を見送っていた。


角を曲がって見えなくなるまで
陽太は右手を振っていて
危なっかしかった。


陽太と会う時
いつも待ち合わせ場所で待っていたら
バイクのエンジン音が聞こえてきて
ワクワクしていた。


陽太が近付いてくる証拠だったエンジン音が
今じゃ遠くなっていって…


姿が見えなくなると
あたしは走って家に入り、
仕事で誰もいない家の中で
大声を出して泣いた。