「…もう大丈夫!」

あたしはニッコリ笑って
大丈夫だと言った。

自分に言い聞かせるように。

陽太は切なそうな顔をしていたけど、
あたしが笑うから
つられて一緒に笑ってくれた。


そして化粧の続きをして、

「今日ケバくしてみた!笑
こんだけケバくしたら
さすがにもう泣かれへんしな!笑」

と言ったら

『ケバいわ!!!笑』
とツッコまれた。


流したい涙を化粧の下に閉じ込め、
精一杯明るい自分を演じて
チェックアウトの時間まで
陽太の側から離れなかった。