「何この段ボール…。」
『ん?引っ越しの準備。
杏も手伝ってくれる?笑』

つい何日か前に来た時はなかったのに、
部屋のあちこちに
散らかっている段ボールを見て
陽太が東京に行くんだと
またあたしは実感した。

「手伝いたくない。」
荷物が片付いていって
ガランとした陽太の部屋なんて
見たくない。
そんな手伝いしたくなかった。

『ケチ〜!笑』
「…ほな手伝ってくれる優しい彼女
作ったらええやん!」
『杏…ごめんって…。』

……まただ。
こんな事言いたかったんじゃない。
なのに口を開けば
可愛くない言葉ばっかり出てしまう。