『杏。
お前俺に言いたい事あんのやろ?』

「ん?ないよ?」

『お前さっき俺が書いた願い事見て
悲しかったんちゃうん?』

「……。」



うまく笑えてたはずなんだけどな。
陽太は全てお見通しだった。

「……悲しかった。
陽太が幸せにしてくれるんじゃないの?
って思った。
でも…今日は楽しみたいから
言えへんかった。
陽太が居るだけで杏は幸せやのに
あんな書き方やったら
未来がないみたいで…寂しくなった…。」


あの時思った事を素直に言った。
「何もないよ」って言ったって
陽太はあたしの心を見透かしてるもん。

嘘が通じない事ぐらい分かってたから。