ずっと刹那に目を向けている。

他の人の顔なんて一切見てない。

刹那の投げる１球１球を旬くんがグローブでキャッチするまで。

目が話せない。

次々に三振にしていく刹那。

私とキャッチボールしてた時の速さより何倍も速い。

本気で投げてるのがすぐにわかる。



「次は攻撃か」

「もう交代？」

「うん！」



由明は一度私に笑顔を見せて、グラウンドにいる旬くんを見つめていた。

きっと、私と同じようにずっと見つめているんだ。

それくらい大好きって事なんだね。


グラウンドではもう攻撃が始まっていた。

相手高のピッチャーの球も速い。

だれもが良い投手と思うくらいに…



「刹那…」



ストライクゾーンに入った球を打ち上げた。

伸びて…伸びて…

心で何回も呟いた。

でもそのボールは相手高のグローブの中にしっかりキャッチされた。

アウト…



「せつなー！ドンマイ！次あるよ！」



私は刹那に向かって、そうおもいっきり叫んだ。

すると刹那は私に気付き、笑ってこっちを見た。



『おう！次は絶対打つからな～！』

「うん！」



互いにピースサインを交わした。

良かった。

しょげてない！