蝉がミンミンなく中、最後の授業を終えて、みんなそれぞれの部活へと行く。

私もいつもどうり、ギターとカバンを持っていつもの場所へと向かう。


いつもの場所とは、野球部のグランドが見えるそばの、大きな木の下。



「暑いけど我慢我慢」



できるだけ日陰を探して、楽譜を開いて座った。



「あっ、刹那だ…」



一番早くグランドに出て、グローブをはめて、ボールを握っていた。



「かっこいい…」



思わず声が出てしまう。

そう、私がこの場所にいる理由は、刹那を見るため。

もちろんそれだけじゃないよ。

野球を見るのが大好き。