そして目的地に着いて、刹那にもらったグローブを左手にはめた。
少し大きかった。
このグローブに何百回も手を入れているとわかると、すごく嬉しい。
『やっぱでかいか?』
グローブをはめながら聞いてきた。
「うん」
刹那に、ボールの取り方を教えてもらった。
刹那がボールを投げる時に髪がふわっと浮く瞬間と髪から汗が弾く所が大好き!
『軽く投げるから、いくぞ』
軽くなげてくれたはずなのに、私のグローブにあたって飛んで行ってしまった。
『ごめん!』
「いいよ!はい」
ボールを拾って刹那に渡した。
意外と難しいんだ…
あんなに簡単にとれるのは、厳しい練習をやってきたからなんだね?
『もう1回いくぞ!』
これを何回も言って投げてくれるのに、なかなか取れなかった。
だけど、なんだかすごく楽しい。
キャッチボールは“心と心で会話する事が出来る”って刹那が前に教えてくれた。
『琉璃!あきらめんなよ!』
笑顔で私のもとへボールが飛んできた。
私は目でしっかり見て、今度こそ!と思い、手を伸ばした…