「何か考えてたやろ?」



タンクトップを着た彼が、ニヤニヤとしながら私の顔を覗き込む。



「考えてない!」



両手で彼の顔を押さえ、私が見えないようにする。

…ストレートに訊かないで!;;

変態は彼に影響されたせいかも知れない。

私、元々は変態じゃないし。



「わかったから手、退けてや」



「うん」



手を下ろし、ドアへと行く。

シーパラダイスを出て別荘へと歩く。



「蝉が啼いてる」



「ホンマやな。別荘は防音されてるから気付かんやったな」



木々や電柱を見渡して、蝉を探す。