「憂愛――ッ!!」



逃げ出してしまった。

足場の悪い砂浜を走る。

砂に足を取られそうになっても。



「待てや憂愛!!」



「…っ…はぁ…」



でも、やっぱり男の人には敵わなくて、すぐに掴まってしまう。



「何で逃げるん?」



「怖かったから…っ」



「“怖い”?」



「わからない…自分でもわからないの…ッ…」



どうして上手くいかない時は、何してもダメなんだろう。

空回りしてる――…。

繋ぎ止めたくて。

彼と普通に居たくて。



「ビビらせてごめんな。泣かせてごめん…」



正面から抱き締められた。