ふわりと鼻を掠めた青らしい甘いフルーツ系の香水。

痛いくらい抱き締められる身体はその痛みにすがりつくように抱き締め返す。


ポロポロ溢れる雫は拭うこともはたまた止めることも出来ずに、顔を寄せる青の服に大きなシミを作る。



赤ん坊みたいに声を上げて泣き出してしまう私をさらに強く包み込む熱に心底安心する。

耳元で囁かれる吐息混じりの声をもっと聞いていたい。



「茉希…。俺、もう中途半端にはいない。」


「その目的を見つけれたから。ほんの昨日だけど…、でも見つかった。」


「だから。」





「泣くなよ。そんなこと言うなよ…、俺は傍にいるから。」



心にポッカリ開いた穴は、割れてしまった心は、簡単には戻らない。


闇は、私に付きまとう。



「…傍にいる。傍に、だから…、」

「…ふ…っ、」

「泣かないでよ…、お願いだから…。」



人なんて生き物は、脆くて弱くて。

一人で生きていけるなんて嘘に等しくて。
ただ自分を強く見せようとする壁みたいな物でしかなくて。




どうしようもなく、ちっぽけだ。