離れた唇を名残惜しく思うのは気のせいだと思いたい。


青の首に腕を回してしまった自分が恥ずかしすぎて直ぐに腕を引っ込めた。



さっきは自分からキスしちゃっし、今度は私も求めた…。

誤魔化しようのない事実に胸は異常な働きを見せて、自分の身体なのに自分じゃないみたいで怖くなる。



まるで、青は渦だ。

なんでものみこむ、のみこまれたらいくら足掻いてももがいても、その渦からは逃げられない。


それはある意味底なし沼のようでもあり。逃げようとすればする程、深みへとはまっていく。



「茉希かーわいい。」

「ウルサイ。」

「茉希は俺のこと、好き?」

「……、珈琲冷める。」



誤魔化すように話を変えて視線を逸らしてみるが、それは意味なく終わる。

少しムッとした青の瞳が私を射抜く。


チラリと視線を送ってみれば妖しく笑う口元がやけに綺麗。




「話逸らさないでよ。」

「…、」

「俺のこと好き?」

「……分かんない。」

「゙分かんない゙?」

「分かんない。」