「ちょ、ちょっと…!」


顔に熱がどんどん集中し体が固まったように動かなくなる。吃驚して腕を離そうと手をかけるが。


「茉希…。」



肩に感じる重みと肌にかかる吐息混じりの声。
それに反応してバックンバックン鳴りだす心臓は、もう直ぐ停止してしまいそう。


私の肩に自身の頭を乗っけてすり寄って来る青。


「いー匂い。」

「は、離せ!馬鹿変態!」

「やだ。ほら、珈琲淹れてよ。」




――そして冒頭に戻る。



香ばしい珈琲のイイ香りがしだして、つい頬が緩む。

二つ取り出したカップに琥珀色を注ぐ。注いだ、はいいが…。



「出来たんだけど。」

「そうだね。」

「呑もうよ…。」

「うん。」

「……離れてくれる?」



呑むと言いながら全く動かないし離れようとしない青に思ってることを言えば。


「んー…。」



曖昧な返事しか返って来ない。

なんなんだよと溜め息を吐き出すとクツリ、喉の奥で噛み殺したような音が漏れる。



「俺ね。茉希限定で。」


「理性保ちそうにない。」




……なんてことを言い出すんだこの男は。