「ごめんね。こんなとこで待ち合わせなきゃよかったね。」

ももちゃんはこっちを向いた。 

頭を少し低くして、あたしと目線の高さを合わせる。
あたしま俯いたまま首をよこにふった。 

「………」

……髪に、暖かいものが触れた。 

ももちゃんはあたしの頭を撫でていた。 


ドキン  ドキン  ドキン 


「かっこよく、ぶん殴ったりしたほうがよかった?」

「へ?」

「強いよ。オレ。高校の時空手で全国大会3位だから。」

「……ウソつき。県大会でしょ…。」

「あ、そっか!ぁはは。
………ホントにごめんね。怖い思いさせて。」

「……ううん……、ありがと…。」





あたしはももちゃんの袖を掴んだ。 




ぎゅっ……と




掴んだ。