7時を少し回ってから、ゆいちゃんからワンギリがあった。
あたしはコートを羽織り、マフラーとバックを手に持って、家を出た。 


外は少しだけ、雨が降っていた。 


………うわ……、寒ッ…



家の前によっちゃんの車が停まっている。助手席に乗っているゆいちゃんが運転席まで身を乗り出し、窓からあたしの名前を呼び、手を振っていた。

「みさきさ〜ん!」

「ゆいちゃん!よっちゃん!」

あたしも笑って手を振りながら走った。


寒さに手がかじかむ。




「寒いッッ!」 

運転席の後ろに乗ったあたしは冷えた手を擦り合わせた。 

髪と肩が小降りの雨に、少しだけ濡れている。

「大丈夫〜?あ、ほら結衣!これアキちゃんに…。」

「あ、うん!」

よっちゃんが助手席から出したタオルをゆいちゃんに手渡した。ゆいちゃんはそのタオルを開いてあたしの頭に掛ける。 

「ありがと〜。たいして濡れてないんだけどね。」

「でも、少しでも濡れてると寒いですよ?」 



雨に濡れて、巻いた髪が崩れかけていた。




よっちゃんは車は走りださせた。

大晦日……道は少し混雑している。