「なんでぇ?あたしは納得できないですッ!!なんでみさきさん引き下がるんっですか!?暴走しちゃって下さいよッッ!」 

ゆいちゃんがジョッキをテーブルに叩きつけるように置いた。 
よっちゃんが隣でうなずいている。 

「だから……あたしはもういいんだってば……。」 
あたしはタバコに火をつけた。 

「逃げだよね〜」 

「!!」 

よっちゃんが頬杖をついてあたしを見る。 

「だってさぁ、アキちゃんが言えば、ももちゃん絶対やめるよ?結婚。」

「……………」 




あたしが…… 








言う? 





ももちゃんに……? 







もし言ったら、







ももちゃんと 
また一緒にいられる日が来るの……? 








あたしは、ももちゃんと過ごした日々を思い出していた。


初めて会った日の事、 


ももちゃんから初めて電話が来た日の事、


二人で初めて遊んで… 


あの待ち合わせた公園…。


抱き締められて 
あったかくて 
嬉しくて 


あたしは自分の気持ちに気付いた。 





ももちゃんの部屋に初めて行った夜が、あたしたちの始まった日。 


幸せな………夜だった。 

幸せで 
幸せで…… 
その腕に溶けていきそうだった…。



でも…… 


それからしばらく会えなくなって…

連絡も来なくて 
できなくて… 

ももちゃんの気持ちを疑った。




でも、また会えた時



そしてすべてを知ったとき……。 



あたしはもう絶対何があってもももちゃんを信じようって決めた。 

何があっても、側にいたかった。 







でも…… 













『妊娠してるの…』 













吸っていたタバコの灰が、テーブルに落ちた。  
フィルターに引火しそうなタバコを灰皿に擦りつける。