約束をして1時間ほどたった時、ゆいちゃんから再びメールがきた。 


『今着きましたよ』 

あたしはケータイを閉じて、ビールを一口飲んだ。

「あたし、入り口まで迎え行ってくる。」

よっちゃんにそう言うと、あたしは持っていたタバコを消して、席から立ち上がった。

グラスを片手によっちゃんはニコニコしていた。 


それにしても…、自分のペースでとはいえ、すでに5、6杯は飲んでるのに…、なんかよっちゃんは全然シラフな感じだった。 


なんで? 
ザル? 


ゆいちゃんを待ってる間、何度か再びももちゃんの話も出た。 

あたしはまだ… 
名前を聞いただけで、過剰に反応してしまう…。 



ももちゃんの話は 
聞きたいけど……、 
聞きたくない。 

知りたくないけど、 
知りたい。 



どうしようもないね、あたし。 
自分でも、わからないよ…。




でもね、 





ももちゃんとカノン…
じゃなくて、春菜ちゃんの、二人の邪魔は…したくないんだ…あたし。








……結婚か…。 










考えてもみなかったけど…… 












ももちゃんが逃げ出したり、責任転嫁する人じゃなくて、よかった。 









そう思おう。


…まだムカつきも消えないけどね。 






「みさきさ〜ん♪」 

入り口の自動ドアで、ちょうど会えた。 

二人で席に戻りながらあたしは小声で言った。 

「残念だけど、よっちゃんはゆいちゃん好みじゃないよ。」 

ゆいちゃんは唇を尖らした。

「え〜ッ!………せっかく来たのにー!」 





でも、ゆいちゃんの本音は分かってる。 




ありがとう。 
あたしのために来てくれて。