「ももちゃん、ももちゃんッッッ!わぁぁぁぁぁぁんッッッ!」 

カノンちゃんはももちゃん名前をずっと叫んで泣き続けている。 

伏せっている彼女の長くてフワフワな髪が、床に広がっていた。
   

ももちゃんは放心している。 
あたしも何も言葉は出なかった。 





手が………震えた…。





妊娠………? 



う……嘘でしょ……? 








カノンちゃんが
ももちゃんの赤ちゃんを……?








あたしにとってリアリティーのない言葉は、少しだけ冷静でいられた心の一部にひとつの疑問を感じさせた。

カノンちゃんはもう1人付き合ってる人がいた。 
仕事でも本番行為をしていた。 


妊娠が…事実だとして……




それは本当にももちゃんの赤ちゃんなの………?






でも 
言っちゃいけない。 

思っても… 
疑わしくても…… 


人として 
同じ女として…… 
絶対に口にはできない…、そう思った。  






でも…… 






あたしはももちゃんを見た。 







これからどうなるの…?

ねぇ…

どうするの……?







不安が襲い掛かる。 







でもきっと 








ももちゃんの方が 

カノンちゃんの方が 









怖いんだろうな……。