「あたし…無理だよ……?」 

カノンちゃんは俯いて泣きながら話し続けた。 

なんで感情の起伏がこんなに激しいんだろう。仕事の時しか会ったことなかったけど……とてもこんな人には見えなかった。

「ももちゃん……。あたし死んじゃうからね…。」

「春菜…。頼むからわかってよ…。」 

あたしはイライラした。 
なんなんだよ…。『死ぬ』って…。さっきから…。

簡単にそんな言葉を口にするカノンちゃんに、あたしは腹が立った。 


でも…、 
同時に彼女の想いがどれほどのものかが、更に伝わってくる気がして…… 

少し…苦しかった。



「みさきちゃん…。お願い。諦めてよ…。」

カノンちゃんはさっきとまるで違う目で、あたしを見た。……縋るような目で…ジッと…。

「あたし…、あたしたちももちゃんがいないと生きていけないの…。」 

「………え?」 

あたしはカノンちゃんの言葉に何か違和感を感じた。

ももちゃんも、同じだったように見える。 




違和感……? 






………? 








「あたし…… 














妊娠してるんだよ……」












え……… 









な…………… 








に………んし…ん……って…… 








「ももちゃんがいないとダメなんだよぉ……」 









真っ白になって…… 


状況がよくわからない…。