ももちゃんは床に座り込んだ。
カノンちゃんは気怠そうにつったっている。 

あたしも崩れるように、ソファーに腰を下ろした。 


カノンちゃんを見た。 
彼女は遠くを見つめてボーッとしている。何を考えているんだろう…。 


「あたし……別れないからね。」 

沈黙を破って、カノンちゃんが呟くように言った。

「消えろよ。」 

「へ?」 

「消えろっつってんだよッ!」 

「カノンちゃ…」 

カノンちゃんは再びあたしの服を掴み掛かってきた。 

「ちょ…やめ………離してっってばッッ!!」

あたしは力一杯カノンちゃんの手を振りほどいた。彼女は相当強くあたしの服と髪を掴んでいて、離れる時、髪は何本か切れ、服のどこが、ビリッっと音を出した。 

「はぁはぁッッ。あたし…」 

カノンちゃんはあたしが突き放した反動でその場に倒れた。そしてまたあたしを睨む。 

その目も、カノンちゃんの口調も行動も……あたしはとても怖かった。怖くなった。 


あたしは人のあんな目… 
見たことがなかった。 




でも…… 





負けたくない。