「死んでやるからッッ!!」 

え……っ? 


何…? 


あたしは驚いて扉を手から離してしまった。 

バタンッ!! 


『やば…』そう思った瞬間、リビングの扉が開いて、ももちゃんが顔を出した。あたしは後退りするように、玄関の扉に寄り掛かる。

「あ…愛希!?」 

「……ごめ……。」 


ももちゃんは驚いた顔であたしに向かい、叫んだ。 

「ごめん!出ててッ!!」

何が起こっているのか分からなかった。あたしはオロオロして、立ち尽くした。 

「誰ッ!?」 


そう怒鳴るような声を出して廊下の先のリビングから女の子が出てきた。

カノンちゃんだった。 

彼女はあたしに気付く。

あたしの知っているカノンちゃんは、可愛くて、フワフワして…、ウザいくらいのブリッコタイプ。

でも…、今目の前にいる彼女は全く違っていた。今まで見たことがない表情で、あたしを睨んでいる。 


「どういうこと?みさきちゃん…。」 

「へ…?」

「どういうことかって聞いてんだよッ!!」 


そう叫びながら、カノンちゃんはあたしに向かって突進してきた。ももちゃんが庇うように、あたしの前に立つと、全身の力を込めるように、それを振り払う。そして、あたしに掴み掛かってきた。