そっと玄関に入った。 


『そっと』入ったのに、理由は特にない。 

脅かそうと思ったつもりもないし、何かを探りたかったワケでもない。

なんとなく。 

……強いて言うなら、『合鍵』的な存在の価値に、酔いすぎて、どう入って行っていいのかが、わからなかったんだと思う。




違和感を感じた。 


なんだろう……この違和感。 





足元を見ると、靴があった。 

…知らない靴。 





パンプスだ。






心臓が鳴る。 
強く鳴る。 




あたしは違和感の正体に気付いた。 




香水だ。





ももちゃんの匂いは消えていた。 





知らない匂いが、鼻にツク。 






誰かいる。