「カノンちゃん……?」


暗い夜道を1人で歩いていたのはカノンちゃんだった。 


帰らせてもらえたんだ…。


あたしは少しだけホッとした気がした。同時に「なんで…1人で……」と疑問になった。 


今は深夜。 
田舎の人通りの少ない道。 


ためらいが全然ないと言ったら嘘になるけど、あたしはクラクションを鳴らして彼女の脇に停まった。 


「みさきちゃん…?」


あたしは車の窓を開けた。


「乗りなよ。」 


カノンちゃんは黙って助手席に乗る。



俯いたままの彼女は、いつもの笑顔が消えていた。