それはきっと素朴な疑問なんだ。 

でも、 
あたしはその素朴な疑問にだけは絶対に答えられない。 

どうしよう。 
間が長いと変だ…。 
何か言わなくちゃ…何か……。

「うん。駅からはちょっと位はなれてるかな。」
「そうなんだ。で…」

聞かれるのがわかったから……何かを聞かれる前にと、あたしは話し続けた。 
「あ、あのね、あたし……今の仕事やめるの。今月で。」

「え?なんで……?」

「だって…ほら……ね…?」

あたしは『ももちゃんが好きだから辞めたい。辞める。』そう言いたかったけど……。なんだか、ももちゃんのせいにしてるみたいだし……、なんとなく言いにくくて…言うのを止めた。 

「昼間…働こうかなって思ってさ。」
「そっか。いいんじゃん。そしたら夜会えるね。
……ありがとう。」
「え…………、うん…。ももちゃん♪」 

ももちゃんはソファー。あたしはももちゃんの足元のカーペット。

あたしはいつもこうして座る。 
これがあたしたちの定位置。 
あたしはコレが好き。