あたしは玄関を出た。 
いつも車まで送ってくれていたなおくんは、いつものように一緒に玄関を出ようとした。 
あたしは立ち止まって、なおくんの方を見る。

「ここでいいよ。 」

「……そっか。」

ここで、お別れ…。 
本当の本当に、二度と会わない。 

「握手とかしちゃう?」

「ドラマかよッ!」

なおくんは茶化しながら手を差し出した。 
あたしも、差し出す。

強く強く、固い握手をした。 

「じゃあね。」

「じゃあね…。」 

あたしは、走ってアパートの階段を掛け降りた。 



最後に、きちんと会えてよかった…。


目頭が熱いのを感じた。 


明日から真っ直ぐ歩いていけるように… 



今は少しだけ……
少しだけ…、いいよね…。 



泣きながら…、あたしは車まで走った。 





車のガラスに空が映っていた。 
あたしは見上げてみる。 





キレイなキレイな、雲一つない青空だった。 






ああ、大丈夫だ。 






きっとあたしは大丈夫。