「どした?なにがあったの?」

ももちゃんは怒ってなかった。 

本当に心配してくれるように、優しく…聞いてくる。 

本当に……

心配してるように……。 

「なんでもないよ。」

「はぁ?だっておまえ……。」

「あたしが『会いたい』って言ったら変?
会いたくて、会いたくて…、
泣き出したらおかしいの……?」

「…………おかしくないけど…、
でも、俺にだって今の愛希がなんかいつもと違うって分かるよ?」

「いつもと違うって……何?
ねぇ…、あたしのことそんなにわかってるの?
わかってくれてるの?
……あたしはももちゃんの事……
分からないよ………。」


「…絡むなよ。酔ってるの?」

「飲んでないよ!!……そんなに……。」

「じゃあ、何であんな所いたの?
飲みに行ってたんじゃないの?
仕事は?」

「…そ……それは……。」

「何かあったんでしょ?
………俺に言えないような事なの?」


何があったかなんて、 
言えない。 


言いたくない…… 



だって……… 



だって言ったら……
聞いたら……… 


ももちゃんは 


いなくなっちゃうんじゃないの……?






「車………」

「へ?」

「あたしの車、TSUTAYAにあるの…。そこまで送って…。」

「は?いいじゃん、とりあえず今日はこのままうち来れば…。」

「…帰りたいから………。」