「どこ行きたい?」

よっちゃんは車に乗ってすぐあたしに聞いてきた。 

車はもう走らせてるのに、行き先未定? 

っていうか、あたしは 

ドライブとか 
ゴハン食べに行くとか 

そういう事のために来たわけじゃない……。

「どこでもいいよ。近くなら。」 

「そう?じゃあ居酒屋?バー?」

「居酒屋でいい。」 


どこでもいいよ、話ができるなら!
あたしはそう思ってた。


「…………なんか怒ってる?」 

信号が赤になった時、よっちゃんはあたしの顔を覗き込むようにして聞いてきた。

「え……?怒ってないよ?なんで?」


あたしの切羽詰まった感じが怒ってるように見えたのかな? 


「ならいいけど……、なんか、あったの?」




たぶんあたしは焦ってただけ。

でも、多少は苛立っていたのかもしれない。


あたしは話を聞きたくて来たのに、よっちゃんはなんだか

『二人で遊んでます。』

っぽい、ノリだったから。



あたしたちは駅前の居酒屋に入った。