「ねぇ、みさきちゃん、………カノンちゃんてコ、知ってる?」 


事を終えて、シャワーから出た後、安藤さんが聞いてきた。 

「うん、カノンちゃん今日来てるよ。なんで?」

「カノンちゃんて、前、shineyって店にいたアヤメちゃんじゃない?」 

shiney? 
アヤメ? 

あ、shineyって聞いたことある。 
確か、半年くらい前に潰れた本サロだ。

「shineyって摘発された本サロだよね?」 

「いや、あそこは本番ナシの優良店っていわれてたんだよ。かなり女の子のレベル高くて有名だったんだけど…。アヤメちゃんてコが入ってすぐ警察入って潰れたんだよね。」

「えー…、カノンちゃんっていかにも風俗初めてって気がしたけど……、そうなんだ…。
でも災難だね、入ってすぐ摘発なんて…。連れてかれちゃったりするんでしょ?」

「災難って言えば災難かもしれないけど…。
…変な噂があったんだよ。その前も、あのコ、入ってすぐの店が、摘発されたらしいんだよ。やっぱり、優良店って言われてた店だったらしいけど…。」

「なにそれ…?」

「オレだからこの店も心配で……、なくなったら、みさきちゃんに会えなくなっちゃうから…。」 

「……あははッ。大丈夫だよ〜!うちは『本番行為禁止』って、店長さっきもいってたし! 
でも、警察とか来たらやだなあ…」


あたしは安藤さんのこの話をあまり気にしていなかった。 

警察とか、摘発とか……あしにはリアリティーがない。