「みさッ…みさきさんにッッ………話……聞いて…ほしくて……ッッ、あたし……ッッ」

ゆいちゃんは明らかにテンパっていて、あたしもテンパる。

「き、聞くよ!聞くけど…どうしよう、あたし…今、ちょっと……、アシがなくて……。ゆいちゃん今どこにいるの?」 

ゆいちゃんは泣きながら、店の近くにいると言った。 

あたしはゆいちゃんに 
そこで待っててと伝えて、走った。 

駅まであとどのくらいか分からないけど、 

一生懸命走る。 



走ったのなんて何年ぶりだろう…。

慣れないから…足がもつれて転びそうになる。

しばらく走らないと、息が切れるのが早い。

もともと走るのは苦手だった。
中学でも高校でも、50m走は10秒代。
持久走も最下位。


走るのは嫌い。



でも
早くゆいちゃんの所に行ってあげたかった。


ゆいちゃんが泣いてる 。 

あたしを頼ってくれてる。 



あたしは何度もゆいちゃん頼って、 


助けられて、 


何度も元気づけられた。




あたしはゆいちゃんの力になりたい。  





今はももちゃんの事も、
なおくんの事も、 
何も考えないで、走った。