そこは一軒一軒部屋が離れてるタイプのホテルだった。 
部屋の横に車を停めて、中に入る。

ももちゃんの後をついて、あたしも入った。 

部屋に入ると、ももちゃんはあたしに背を向けたまま、一言呟くように言った。 

「……愛希…、なんで何も連絡くれなかったの?」 

「え……?」


意外な言葉だった。 

それはあたしがずっと思っていた疑問、不満……、 
あたしが言いたいセリフだった。 


ももちゃんはこっちを振り替える。 


怒ってるようにも、 
悲しそうにも見える 
そんな目であたしを見ている。


あたしは改めて気付いた。 


ももちゃんの連絡を待っているだけで、 



あたしは何もしてなかった事……。 



「な……なんでって……、ももちゃんは?なんでももちゃんは何も連絡くれなかったの!?あたしだってずっと待ってたんだよ!」

「オレは、連絡したくてもできなかったんだよ。」

「なに、それ。意味わかんないよ。連絡できないほど忙しいなんて……、メールもできないほど忙しいなんてあるワケ……」

「そうじゃなくて!!ケータイが使えなかったんだよ!水没して、データが全部飛んじゃったの!」

「え……?」